育児のあれこれ

妊娠したら夫に読ませたい漫画『コウノドリ』。出産前後のリスクも感動もすべて詰まっています

大人になってから漫画を買うことが少なくなってきました。

そんななか、私がずっと買い続けている漫画。それが『コウノドリ』(講談社)です。

ドラマでも話題だった『コウノドリ』

『コウノドリ』は雑誌「モーニング」で連載されている漫画です。

綾野剛さん主演でドラマ化されて話題になり、第2シーズンまで放送されました。私も毎回、涙しながら観ていました。

ざっと内容をいうと、主人公は鴻鳥サクラ(男性)という産婦人科医ですこの主人公が勤務する聖ペルソナ総合医療センターに訪れる妊婦とその家族に起こる出来事を描く物語です。

扱われるテーマはもちろん妊娠や出産に関したもの。「切迫流産」「人工妊娠中絶」「子宮外妊娠」など妊娠に際して起こりうる事象から、「産後うつ」「マタニティマーク」といった社会現象となっている題材も扱われています。

公式HPにはこのようなリード文があります。

出産は病気ではない。だから通常の出産に保険はきかない。産科医療は怪我や病気を治す訳ではない。なので通常の出産に産科医は必要ない。だが、何かが起こりうるから産科医は必要なのだ——。(モーニング公式サイトより)

出産や妊娠を扱う漫画はこれまで、女性読者をターゲットにしたものがほとんどでした。ですが、これは「モーニング」の連載ということで、男性読者がターゲット。それで人気があるところが興味深いですね。

私がこの漫画を知ったきっかけは、テレビでコメンテーターもされている産婦人科医・宋美玄さんがおススメしていたことでした。

また、この漫画の主人公の産婦人科医は実在する人物をモデルにしています。検索すればすぐ出てきます。

それもあって俄然、興味がわいてきて読み始めました。

女性も妊娠について知らないことだらけ

一般的に、女性は男性よりも妊娠や出産について知っていることが多いと思います。

女性は年齢を重ねていくと自然に情報が入ってきやすいし、母親から話を聞く機会もあるかと。またスマホが普及したいまは、妊娠すると自分の体や赤ちゃんについて自分で調べる人が多いでしょう。

じつは私は、妊娠や出産の知識は普通より持っているほうだと思っていました。

でも、ぜんぜんでした。

妊娠してから子供が産まれるまでに、こんなにたくさんの高いハードルがあったのか…。知らなかったなぁ…。

無脳症や口唇口蓋裂という症状も知らなかったし、双子や未熟児のリスクも正確には分かっていませんでした。また帝王切開や高齢出産など、いまみんなが当たり前のようにやってることが実はそう簡単ではないことも、分かりやすく描かれています。

『コウノドリ』を読んで、無事に出産にこぎつけるということがいかに難しいことことか、奇跡的なことかということが、身に染みてわかりました。

夫(男)の意識変革にも役立つ

女にとっても知らないことが多い妊娠・出産。男性ならなおさらでしょう。

女性は妊娠すると、カラダにいろいろな変化が起こります。不調も起こります。メンタルも不安定になります。でもいちおう女性は当事者なので、文字通り”身をもって”感じることができます。

しかし男性は、そうはいかない。それもあって、「女は誰でも妊娠できて、妊娠すれば10ヶ月後には必ず子どもは産まれてくる」と、のほほんと考えている人が多くいます。そこに危険などない、と。(漫画にもそういった男性が描かれています)

私の夫もそうでした。人並みに「体に気をつけて」とは言うものの、基本的には「良かったね〜、楽しみだね〜」という感じ。

私が口で「こういうリスクもあるんだよ」といっても、「ふーん、まぁでも大丈夫でしょ」という感じで、私やお腹の子どもに何か起こるとは微塵も考えていません。

でも、例えば意外と知られていないのが、流産率の高さ。妊婦の15%は流産を経験すると言われています。これは6人に1人の割合で、ものすごく高い。

また、私は妊娠糖尿病と診断されて5日間検査入院したことがありました。そのときに同室だったのが、切迫早産で絶対安静と言われた女性が2人、つわりが酷すぎて食事ができず赤ちゃんが危険と判断された女性。みなさん鬼気迫りながら懸命に頑張ってる、という感じでした。

こういった、妊娠には母体にも赤ちゃんにもリスクを伴うということを、男性にはなかなか分かってもらえないんですね。

ですが、私が『コウノドリ』を買い始めて、夫も読むようになってから、ガラリと変わりました。

たとえば1巻に、20週で急に破水した妊婦の話があります。赤ちゃんの命を考えると、帝王切開するには早すぎる、22週または500gに到達するまでなんとかお腹の中にいて…!という話です。切迫早産が本人の意思ではどうにもできないこと、赤ちゃんをお腹の中で育てるのがいかに重要であるか、未熟児で生まれたときのリスク、家族の心構え……

いろいろなことを教えられ、また強烈に印象に残る回でした。

これらを読んでくれたおかげで、妊娠中は私の様子を逐一気にかけたり、労ってくれるようになりました。妊婦健診にも(毎回ではないけれど)来たり、情報共有もすすんでするようになりましたね。

また、子供が産まれてからは子供を本当にかわいがっています。(イクメンではありませんが子煩悩ではあります)

男の人にこそ読んでほしい漫画だと心底感じます。

妊婦や子供をとりまく環境を変えるためにも……

妊娠や出産への対応は本当に難しい。

妊娠や出産の症状は、1人1人ぜんぜん違います。

外見からみて誰もが妊婦とわかる妊娠後期より、見た目からはわからない妊娠初期のほうが、身体的にも精神的にもナイーブだったりします。

なんともなかった体調が急変することもある。急に発熱したり、頭痛が起きたり、だるくなったり、腹痛が起きたり……。

本当に難しいんです。

でも、女性の口から「体調悪い」「しんどい」とか、「妊娠中はこんなことが起こる」みたいなことは言いにくい場合があります。

最近では「妊婦様」という言葉にあるように厚かましいと思われたり、マタニティマークをつけていると嫌がらせ受けたり。

男性はもちろん、女性もあらかじめ妊娠出産がどういうことなのかをよくよく学んでおけば、もっと日本の妊婦や子供をとりまく環境が良くなるんじゃないでしょうか。

そのためにも、ぜひ多くの人に読んでほしい漫画です。