いまライターという職種が人気を集めているそうです。
- 自由で楽しそう
- パソコンさえあればできる
- 簡単に始められる
……といったイメージがあるのだとか。
目次
そもそも「ライター」って?
ライターとは「文章を書く人」「文章を書くことを仕事にしている人」のことです。
ひと言で「ライター」といっても、仕事の内容は多種多様。人によってやっていることが全然違います。
- 自分のサイト(ブログ)やnoteで記事を書いている人
- 著者に代わって本を書いている人(ブックライティング)
- 雑誌やウェブサイトの記事を書いている人
- 取材をして原稿をまとめている人
- 企業広報、機械マニュアルを書いている人 ……ほか
誰から仕事をもらうかというと、メディアやその関連会社・制作会社、あっせん会社(マッチングサービス)などです。
依頼主は組織の場合もあるし、個人の場合もあります。
現代はインターネットが発達し、ネット上のあらゆるところで文章が必要とされているため、余計にライター需要が高まっているとも言われています。
ライターのメリット

では、ライターという職種の良いところを見ていきましょう。
(専業ライターだと想定して読んでください)
働く場所はどこでもいい
多くの方が考えるライターのイメージは、「働く場所が自由」ということではないでしょうか。
実際、ライターが仕事をするのに必要なものは、パソコン(とネット環境)のみです。
そのため、本当にどこででも仕事ができます。
自宅、カフェ、レストラン、レンタルスペースやシェアオフィス、旅先のホテル……。
最近は、飲食店でも電源やインターネットが完備されていたり、ホテルにもテレワーク用プランがあったりします。自宅以外で働くのに困ることがありません。
スケジュール(時間)の融通が利く
会社勤めなどをしていて副業でライターをしている場合は別ですが、純粋にライターのみを仕事にしている場合、厳格な始業時間や終業時間がないので時間の融通が利きます。
たとえば、小さいお子さんがいる家庭では、平日にさまざまなイベントが発生します。
- 寝坊や準備のもたつきで学校や園に行く時間が遅れる or 予定より早く帰ってくる
- 急病、通院
- 保育園・幼稚園や学校の参観日、個人懇談 など
会社勤めだと、同僚や仕事関係者を巻き込んで日程や仕事の調整をする必要があります。他の人に頭を下げることもあるでしょう。
ですが、在宅ライターの場合はすべて「自分のさじ加減」。
いつ、どのような仕事を、どのくらい入れるか(or 入れないか)を自分で調節できます。
もちろん仕事を請け負った後で急にプライベートの用事が入れば、後でしわ寄せを食うことはあります(仕事を間に合わせるために寝る時間を削る、など)。
ですが、あくまで自分1人の問題なので、気がラクです。
人間関係のストレスが少ない
会社員であれば、同僚や上司、仕事関係者で苦手な人、相性が合わない人がいても、我慢して付き合い続けなければいけません。
時には行きたくない飲み会や接待に行かざるをえないことも……。
ライターは基本的に、仕事相手はクライアント(仕事発注者)のみ。
嫌なクライアントとはお付き合いしないようにすれば済みます。
人間関係の悩みやストレスは極限にまで小さくなると言っていいでしょう。
仕事自体が勉強になる、学びがある
ライティングの種類によりますが、仕事自体が勉強になるケースが多いです。
文章を完成させるために、文章そのものも洗練させなければいけないし、人に読まれる文章・書き方を意識しなければいけません。
そのために試行錯誤を繰り返すし、語彙もどんどん増えていきます。
また私が請け負う仕事に、専門家や著名人のインタビュー原稿のまとめがあります。第一線で活躍している人の話を聞けるのは本当に役得です。
そういった原稿をまとめるにあたっては、その分野の情報もいろいろと必要になります。
結果、書くためにはめちゃくちゃ勉強しなければなりません。
仕事をこなすごとに自分がステップアップできるということです。
始めるハードルが低い
ライターという職種は、始めるハードルがとても低いです。
経験や資格も必要ありません。
やろうと思えば誰でもできる。
さらにいまは、ライター向けの仕事マッチングサービスが数多くあるので、ネットでわりと簡単に仕事を探すことができます。
ライターのデメリット

もちろん、ライターもいいことばかりではありません。
会社員のような信用は得られない
個人でライターをする場合、要はフリーランス(組織や団体に属さない)なので、会社員に比べて社会的な信用が薄いです。
たとえ仕事が順調で収入がある程度あっても、クレジットカード発行の審査は厳しいですし、クルマや家のローンを組みたいと思っても、審査に通らないか大幅に減額されるでしょう。
また在宅ライターは、自治体によっては子どもの保育園入園に際して、会社員よりも不利になるところもあります。
また仕事上でも、「あの人に取材したい」「あの会社を取材したい」と思っても、個人名義の依頼ではなかなか応じてもらえません。やっぱり名の通った大手メディアや出版社のほうが信頼も厚い。
個人の力はとても弱いし、できることは限られてきます。
安定して仕事があるとは限らない
フリーランスは不安定です。いつ仕事がなくなるかわかりません。
社会の景気、あるいやクライアントの経営状況や経営方針次第で、急に仕事が切られる可能性があります。
また駆け出しのライターによくあるのが、仕事が獲得できないということです。
ライター自体になりたい人が多くて競争が激しく、仕事は取りづらい。さらにその足元をみて悪質なクライアントが超低単価な案件ばかりを出し、仕事をやっても儲からない――。
初心者の方はこの壁に必ずぶつかるでしょう。
仕事や収入をどう確保するかは、常に付いてまわる問題です。
自己管理の必要がある
ライターは仕事が不安定なため、仕事を確保するために、つい営業をかけすぎたりしてしまいます。
その結果、自分の手がまわらず、納品日(締切)に間に合わない。もしくは完成度の低いものを納品する。あるいはすべての仕事に取り組んだ結果、無理がたたって体調を壊してしまう……。
ありがちです。
フリーランスライターは常に1人で動いています。自分の時間管理、体調管理をしっかり行うことがマストです。
福利厚生や手当がない
当たり前ですが、会社員でいうところの福利厚生がありません。
たとえば産休・育休という概念がないので、女性が出産や育児に際して働かないとなれば収入はありません。
有休ももちろんないし、退職金も年金もない。
「タイムイズマネー」が基本です。
将来性を感じにくい
ライターという仕事は将来性を感じにくいと思っています。
会社で出世していくと、仕事の幅がどんどん広がり、動かせる金額も増え、重要な役割を任うようになります。中には自分の手で会社や社会を動かしている実感をもつ人も出てくるでしょう。
それでなくても、社会に貢献できている、社会に必要とされている実感は増すものです。
ライターは、そういった感覚を抱きにくい。
もちろん、なかには物書きに転身して本を書いたり、メディアを運営する経営側にまわったり、目覚ましい活躍をする人もいます。
ですが、ほとんどの方は一介のライター止まりです。
どこまで行ってもライター。
ライターの実態は……?
「初心者でも仕事はある」or「ない」?
初心者の方がライターをやろうと思ったとき、だいたい以下のどちらかのパターンです。
- 自分のサイト(ブログ)を開設する → 広告やアフィリエイトで稼ぐ
- 第三者から仕事を依頼される → 文章を納品して報酬を得る
①の場合は、コツコツと心折れずにやるだけ。こちらはライターというよりブロガーというほうがしっくりいくかもしれません。
②について、いま初心者でもライターが始められるようなマッチングサービスがたくさんあります。
マッチングサービスに登録し、仕事の案件に応募する、ということになります。
初心者の方でもできる案件はたくさんありますが、概して単価は低いです。正直、案件をなかなか獲得できない可能性も多々あります。
あまりの低単価に時間と体力だけ消耗だけしてしまうケースも多く、どう継続していくかがカギとなるでしょう。
「稼げる」or「稼げない」?
ライターという職業を紹介しているサイトを見ると、収入についての意見は分かれます。伸びないという人もいれば、青天井だという人もいる。
実際のところは、伸び悩む人がほとんとではないでしょうか。
というのは、ライターの仕事の値段は文字単価で決まります(1文字=○○円といった具合に)
そのため、収入を伸ばすための方法は2つしかありません。
- 文字単価を上げる
- 仕事量を増やす
1人の人間が請け負える仕事量には限界があります。ですから、みんな文字単価を上げる方向性を目指すわけです。
ですが、文字単価も無制限に上がるわけではありません。上限はあるし、またなかなか上がるものでもありません。
そのため、どちらの方法をとったとしても、収入は頭打ちしやすいのです。
爆発的に収入を伸ばそうと思えば、
- ライターの守備範囲以外のことも行う(デザイン、カメラ、編集、校正など)
- note、電子書籍、ブログ等が大当たりするのを狙う
こういったことが必要になってきます。
もちろん経験を積み重ねれば、大手メディアから仕事がもらえるかもしれません。そうなれば万々歳ですし、理想ではあります。
「子育てとの両立はしやすい」or「しにくい」?
在宅ライター、ママライターを募集する宣伝文句によく使われるのが、「家で子育てと両立しやすい」というものです。
たしかに、子どもが急病で園や学校から電話がかかってきたとき、在宅ライターだと対応しやすいし、仕事の調整もしやすいです。
前々から予定がわかっていれば、平日でも予定を空けることができます。
ですが、乳幼児の面倒を見ながら家で仕事をするのは、はっきり言って無理。
他の仕事もそうでしょうが、ライターも集中が必要な仕事です。乳幼児がいる環境では、とてもじゃないけれど集中できません。
ライターはおすすめか?
私はもともと会社に勤めていましたが、いろいろあって会社を辞めました。
ライターは前職の経験を活かせるし、ツテもあって仕事もいただけています。フリーランスという働き方も性に合っています。
とりあえず(私の持論ですが)新卒でライターはやめたほうがいいかな、と。
1つは、ライターとしての強みがないことです。その状態では先行きが不安定すぎる。
また、やっぱり会社員のほうが地位も収入も安定するし、福利厚生の恩恵も受けられます。そして組織に属したほうが、社会のマナーや人間関係、その専門性などさまざまなことを学ぶことができます。
個人で活動するより、組織に属したほうが、己の成長は絶対に早い。
ただ、とくに未経験の方がライターをする場合、稼げるようになるまではかなり大変な思いをすることは覚悟しておいたほうがいいと思います。