関西の交通系カードには、ICOCA(イコカ)とPiTaPa(ピタパ)があります。
どちらがお得なのでしょうか?
私は就職してから20代のあいだ、東京に住んでいました。
東京では交通系ICカードは必需品です。なぜなら、乗り換えがめちゃくちゃ多い。いちいち切符を買っていては、手間や時間がかかって仕方がありません。
そしてとにかく、いつでもどこでも人が多い。そのため、改札をいかにスムーズに通過するかが重要事項です。
当時、私はSuica(BIC CAMERA Suicaカード)を利用していました。年会費無料、オートチャージ、あらゆる電車やバスで利用可能、と非常に便利でした。
京都に住み始めてしばらくは、Suicaを利用していました。ですが、使えない交通機関があったり、オートチャージができないことに不便を感じました。
そこで、関西で発行されている交通系カードに変更することにしました。
目次
持っている人が多いのはICOCA
ICOCA(イコカ)は、JR西日本が発行している交通系ICカードです。
JRのほか、関西私鉄(阪急、京阪、近鉄など)でも相互利用ができます。バスでも利用可能です。
つまり、ICOCAを持っていれば、関西の交通で不自由することはありません。
ICOCAの特徴は大きく3つあります。
簡単に入手できる
ICOCAは、簡単に手に入ります。
JR西日本の券売機やみどりの窓口で購入できるほか、京阪や近鉄でも購入できます。
また不要になったら、駅窓口ですぐに返却できる。
あとで書きますが、PiTaPaは発行に時間がかかります。それに比べて、ICOCAは簡単に入手できるので、関西で持っている人が多いのはICOCAですね。
事前にチャージが必要
ICOCAは、前払い式のプリペイドカードです。
ICOCAを使って電車を利用するには、事前にチャージ機やコンビニなどでカードにチャージ(入金)する必要があります。
オートチャージ機能がないのが不便なところですね。
またICOCAには、「SMART ICOCA(スマートイコカ)」というものがあります。これを申し込めば(申込時にクレジットカードと紐付け)、駅でチャージをする際にクレジットカードからチャージできます。
特定区間に割引がある
以前はICOCAに金銭的なメリットはほとんどありませんでした。そこへ、2018年10月から新しい割引サービスが導入されました。
特定の区間、特定の時間に月4回以上利用すれば、運賃が大幅に割引となります。

以上をまとめれば、ICOCAのメリットは、
- 簡単に入手できる(また手放せる)
- 乗車券を購入する手間が省ける
- 特定区間や時間に該当する利用者は割引が受けられる
補足として、SMART ICOCAであれば、電車利用や電子マネー利用でポイントが貯まります。またクレジットカードからのチャージでもポイントが貯まります。
複雑な仕組みのPiTaPa
PiTaPa(ピタパ)の仕組みは、正直ややこしい。お得なのか便利なのか、初めのうちは全然わかりませんでした。
PiTaPaは、「スルッとKANSAI」という関西の私鉄各社等から構成される協議会が発行するカードです。
大きく分けて2種類ある
PiTaPaは大きく分けて2種類あります。
- PiTaPaベーシックカード(PiTaPa機能のみのカード)
- PiTaPaとクレジットカードが一体となったカード
①は1種類なのですが、②については関西の企業と提携したかなり多くの種類があります(公式HP参照)。
事前チャージの必要がない
PiTaPaはポストペイ(あと払い式)のカードです。
そのため、ICOCAのように事前にお金をチャージする必要がありません。
PiTaPaエリアでの運賃や買い物で支払ったお金は、登録した金融機関口座から1ヶ月分まとめて引き落とされます。これはラクちんですね。
ただ、あと払い式が適用されるのは「PiTaPaエリア」のみ。JRなど相互利用エリアを利用する際は事前のチャージが必要です。
また、PiTaPaの電子マネーは全国相互利用に対応していないのも注意です。PiTaPa電子マネーが使えるのはPiTaPaエリアのみとなっています。
発行に時間がかかる
PiTaPaは後払いで、引き落とし口座の登録が必要です。またPiTaPaの多くはクレジットカードと提携しています。
そのため、申込みがオンライン(インターネット)入会か、郵送により入会申込書を送る必要があり、申し込んでから発行までに時間がかかります。
また、解約時にも時間と手間がかかる。
PiTaPaのコールセンターに電話で連絡し、解約届けとカード返却用の封筒を郵送してもらわなければいけません。カード内に残額がある場合、払い戻し手数料525円もかかってしまいます。
オートチャージ機能がある
ICOCAにはないメリットとして、PiTaPaにはオートチャージ機能があります。
カード内の残額が1,000円以下であれば、自動的に2,000円チャージされます。
ただ、このオートチャージが適用なのはPiTaPaエリアの改札機をタッチしたときだけ。またオートチャージ金額の変更はできません。
さらに、チャージした分でPiTaPaエリア内の切符を買ったり、乗り越し精算をすることはできません。1日乗車券や回数券をチャージ分では買ったりすることができないのですね。
割引サービスが多い
PiTaPaのメリットは、割引サービスが多いことでしょう。
1カ月間で利用する回数や利用金額によって、割引サービスが設けられています。
- 利用回数割引
- 利用額割引
- 登録型割引サービス
サービスや割引率等が交通各社によって違い、ここがややこしいところですね。
また、上で書いたICOCAの割引サービスは、PiTaPaを使っても受けられます。
まとめると、PiTaPaのメリットは
- 後払い式、クレカと一体型、オートチャージ機能があるなど、手間がかからない
- PiTaPaとICOCAの両エリアの割引サービスが適用
どちらを使ってもお得ではない?
ICOCAとPiTaPaはそれぞれ割引サービスがあります。
ですが、前提として、通勤や通学で電車を利用する場合は、定期券を購入するのがいちばん安上がりとなります。
では通勤や通学以外で利用する場合は、ICOCAとPiTaPaはどちらがいいのか。
その場合、ICOCAもPiTaPaも、改札をスムーズに通る(いちいち切符を買わなくていい)ことができるという以外にめぼしいメリットはない、というのが私の見解です。
ICOCAもPiTaPaも一定回数以上、同一賃金区間を乗車すると割引になるサービスがあります。とくにPiTaPaエリアで、定期券を買うことなく「1カ月間に11回以上」乗車することなんてあるでしょうか……?
ICOCAエリアの「1カ月4回以上」はあるかもしれませんね。区間と時間はかなり限定的ですが……。
関西でお得に電車に乗るには
関西でさほど頻回に交通機関を利用しない人が電車を利用する場合、お得なのは以下の2つの方法です。
- 回数券を買う
- 金券ショップで乗車券を買う
毎日ではないけれど同じ区間をしばしば利用するのであれば、駅で普通に回数券を買うのがお得でしょう。
また、その日限り利用するのであれば、金券ショップでの購入が安上がりです。
金券ショップに行くという手間はかかりますが、金銭面ではかなりお得ですし、わりと関西では駅周辺に金券ショップが普通にあるので、さほど苦ではないですね。
私がわりとよく利用する区間は、京都-(大阪)-三ノ宮区間です。乗車券はもちろん金券ショップで購入しますが、時間の余裕がないとき(早く着きたいとき)はJR、時間に余裕があるときは阪急の切符を購入します。
結論
頻繁に電車を利用するのは、通勤か通学で、その場合は定期券を利用するでしょう。
それ以外の、さほど電車を利用しない場合は、回数券と金券ショップを活用するのでじゅうぶん事足ります。
今後、関西で交通系カードに期待することは、
- 全線でオートチャージが可能(Suicaは、Suicaエリア以外にも首都圏の私鉄・地下鉄のPASMOエリアでもオートチャージできます)
- 都市部を走るJR・私鉄・バスがICカード対応(京都ではまだカード非対応のバスもある)
- お得なポイント付与制度、割引制度を導入
ですね。
③は導入されてきましたが、①と②はなかなか実現されませんね……。